2019/08/10
生まれつき面倒くさがり屋の私は、今まで個人でWebサービスをリリースできたことがありませんでした。
着想した段階で「すごいアイディアが思いついた!」と満足して放置を決め込んだり、少し手を付けただけで作りかけの状態になってしまうといった状態です。
そんな面倒くさがり屋の私が、一週間たらずで個人開発のWebサービスをリリースできたので、そのやり方を共有します。
大人のADHDの診断ができる病院を、地図上から簡単に探すことのできるサービスを個人で作りました。「自分はADHDかもしれない」と感じながらも、診断まで行き着けていない人は是非使ってみてください。https://t.co/ERRCrbOCsQ
— igz0 (@igz0) 2019年8月10日
サービスの内容はいたってシンプルです。
大人のADHDを診断できる病院が、日本の地図にマッピングされていて、
マップ上のピンをクリックをすれば、営業時間と電話番号がすぐに出てくるようになっています。
自分がADHDかわからず困っている人は、このサービスで近くの病院を探して予約が手軽にできるようになっています。
私は、はてな匿名ダイアリーに上がっていた以下の記事を見て、大変ショックを受けました。
記事にも触れられているように大人のADHDを診断してほしい人が、大人のADHDを扱う病院を見つけ出すのは大変です。よく言われる方法として下記のような方法があります。
近くの発達障害者支援センターに相談をする
専門の検索サイトなどで調べてみる
https://adhd.co.jp/otona/hospital/
「大人 発達障害 病院」などのキーワードで地道にGoogle検索をする。
保健所や役所の障がい福祉課に相談する
はっきり言って、非常に大変です。
先延ばしをしがちなADHDの人にとっては、本当に重いタスクの数々です。
昨今、ADHDや発達障害という言葉の認知度は年々上がっていますが、肝心の病院が探しにくいという問題はいまだに解決していません。
大人のADHDを受診したい方にとって、病院に行きたくても病院が探しにくいという問題は、なにより深刻な問題に思えました。
これを解決するのに地図上に病院をプロットとするいうアプローチを取りました。
近くの病院を知るのに、一番直感的でわかりやすい方法だと考えたからです。
Web開発をしようとするとき、どんな技術を使うことを思い浮かぶでしょうか。
Qiitaを見ているような情報感度の高い方は、様々な目新しい技術が思い浮かぶかもしれません。
これらは確かに便利で未来のある技術かもしれませんが、今までの挫折の経験から何個もの技術を一から勉強しているのでは作りたいサービスなんて何年経っても作れないとわかりました。
私はIT業界の人間ですが、仕事でWeb系のサービスに携わっていた訳ではないので、自分が少しかじったことのある以下の技術を使って作りました。
中には今どきこんな枯れた技術を使うなんてというものもあるかもしれません。
ですが、作った時点で私が身につけていた技術は以上のものでした。私は新規技術を何個も勉強するという高すぎるハードルを建てるよりも、まずサービスを完成させることを優先させたのです。
たとえば、このサービスは静的なコンテンツのみで構成されていますが、サーバーのセットアップの時間も惜しかったのでNetlifyという無料のホスティングサービスを使いました。
GitHubにプッシュすると自動的にビルドからリリースまでやってくれるという便利なサービスです。SSLやHTTP/2・独自ドメインにも対応しています。
Dockerを設定して仮想コンテナからサーバーを構築するといった方法と比べて、随分と楽ちんで手抜きな解決方法ですが、「ユーザーは使っている技術の中身なんて気にしない」と開き直りました。
個人開発にとって、開発期間の長さは挫折の原因です。
期間が長引けば長引くほど「このサービスって世の中に必要かな?」とか「自分のアイディアが間違ってたらどうしよう」といった余計な考えが生まれ、モチベーションの低下に繋がります。
そんなもの完成させてみなければわかりません。まずは作ってみることが大事なのです。
この画像を、部屋の目立つところに貼りました。馬鹿馬鹿しいと思うかも知れませんが効果はてきめんです。
「こんな便利な機能つけちゃおうかなー」と魔が差したとき、顔を見上げるといつもマーク・ザッカーバーグが私に語りかけてくれました。「まず終わらせろ」と。様々な機能をつけたくなる衝動はありましたが、振り返ってみると大抵は無駄で実装に手間のかかる機能でした。
このサービスで本当に大事な機能は、「全国の地図から大人のADHDを診療できる病院を手軽に探せる」というところで、それ以外はリリースにあたっては不要だったのです。
私はADHD当事者です。
アイディアを思いついたとき、「昔にこんなサービスがあれば、自分はもっと早く病院にたどりつけて適切な治療を受けられていたな」という後悔が生まれました。
そして、「このサービスはこの世の誰かが必要としているものだ」という信念が、面倒くさがり屋の自分を突き動かすことに繋がりました。
「人の役に立つものを作る」ということは、単なる綺麗事などではなくモチベーションを保つのになにより重要なものだったのです。
大事なことなので二回言わせてくれ。